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〔プレスリリース〕初の人間国宝 陶芸家 石黒宗麿の作と思われる「木葉天目茶碗」を発見

概要

 

 京都精華大学(京都市左京区、学長:ウスビ・サコ)では 2018 年 4 月より、陶芸家 石黒宗麿に関する研 究をおこなってきましたが、この度、石黒の工房・住居跡「八瀬陶窯」(京都市左京区)の調査において、 登り窯内部から石黒作と思われる「木葉天目茶碗」を発見しました。現在、専門家の協力も得ながら作品の真贋/制作年代などについて調査を行っています。

 

 

■発見状況

1.石黒の工房・住居であった「八瀬陶窯」で発見された。

2.碗底に石黒が技法を追求した「木の葉模様」が見られる。

3.窯内のサヤ(容器)に入ったまま、碗の外側および底部分がサヤに接着していた(目が付いていた)。

■経緯 2018 年 4 月より、石黒宗麿(1893~1968)が遺した工房・住居「八瀬陶窯(京都市左京区/2003 年から本学 が管理)」と、残された陶片を検証・分析し、作陶技法や変遷、活動や人的ネットワークについて調査・研 究を続けてきました。石黒没後 50 年の節目となる 2018 年 6 月、登り窯の調査において、焼成時の「サヤ」 に納められた状態の「木葉天目茶碗」を登り窯第 2 室から発見。また周辺から「灯油窯」や「楽窯」も発見 され、これまで明らかになっていなかった石黒の作陶の様子を知る手がかりとなりました。

■今後について 2018 年 12 月 14 日から 2019 年 1 月 12 日に、石黒宗麿研究の成果を発表する展覧会の開催を予定しており、 今回発見された「木葉天目茶碗」も展示する予定です。(会場:京都精華大学ギャラリーフロール)

 

■研究チーム「八瀬陶窯と石黒宗麿に関する研究」(2018 年度学内公募研究)

米原有二(本学伝統産業イノベーションセンター長)、奥村博美(芸術学部教員)、斎藤光(ポピュラーカ ルチャー学部教員)、中村裕太(芸術学部教員)、兼松佳宏(人文学部教員)

<お問い合わせ先> 京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター 〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町 137 Tel:075-702-5129 Fax:075-702-8819 担当:米原 有二

2018 年 11 月 7 日

京都精華大学

 

 

石黒宗麿

Munemaro Ishiguro

(1893〜1968)

1893年(明治26)、富山県射水郡作道村(現射水市)に医者の長男として生まれる。25歳の頃に見た曜変天目茶碗の美しさに感銘を受け陶芸家を志す。東京、埼玉、金沢と転居しながら作陶を続け、1927年(昭和2)に京都市東山区に居を移す。天目釉を中心に東洋古陶磁のさまざまな技法研究に取り組んだが特定の師にはつかず、古陶磁を教材として製陶研究に勤しんだ。1936年(昭和11)には京都市左京区八瀬に築窯した住居兼工房である「八瀬陶窯」で作陶を始める。1955年(昭和30)、鉄釉陶器の技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)認定を受けた。1956年(昭和31)に八瀬陶窯を財団法人化し、後進の陶芸家養成の拠点づくりをめざした。

 

 


11/8 京都新聞 朝刊